『冬のオナガマ』

『冬のオナガマ』

小さく冷えた手を 僕は握りしめた
少し濡れた手を 僕はそっと拭いた
誰にも見えぬよう 壁に背を向けた
声も掛けれないままに 君は歩き出した

追いかければまだ間に合う その距離も縮められずに
消えかけの街灯の下 また声を殺した

この夜が明けるまで声響かせて まだ僕が『ここにいる』と思わせてくれ



小さく伸びた影 無意識に追いかける
いるはずの無い君 また僕はうつむいた
誰にも見えぬよう 壁へ目を向けた
何か掴むように 開いてた左手

あの頃と変わらない 静けさを見ていた
消えかけの街灯の下 またそっと目を伏せた

この夜が明けるまで声響かせて まだ僕が『ここにいる』と思わせてくれ


握ってた小さな右手 今はもう温もりも感じられずに

この夜が明けたならまたここで  また僕がここにいたと思わせてくれ

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